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つくば特区プロジェクト6会合メンバー
JAEA-Review 2021-016, 102 Pages, 2021/11
2011年12月に内閣総理大臣によって「総合特別区域」につくば市と茨城県内の一部の地域が指定された。つくば国際戦略総合特区では、つくばの科学技術の集積を活用したライフイノベーションやグリーンイノベーションの推進による産業化を推進することを目的とし、9つの先進的な研究開発プロジェクトが進められている。その中で、核医学検査薬(テクネチウム製剤)の国産化は、2013年10月に新たなプロジェクトと認定され、日本原子力研究開発機構をプロジェクトリーダーとして、関係機関と連携して研究開発を実施している。日本は、米国、欧州に次いでモリブデン-99(Mo)の世界第3位の消費国であるにもかかわらず、そのすべてを輸入している。海外の製造用原子炉のトラブルによる停止や、火山噴火や事故による輸送(空輸、陸送)の停止により、供給が不十分になることから、早期の国産化が強く求められている。本プロジェクトは、診断薬として用いられている放射性同位元素のテクネチウム-99m(Tc)原料であるMoの国産化を目指した技術開発である。本報告書は、第12期計画(20142020年度)に行った活動をまとめたものである。
山本 和也; 牧野 崇義; 磯 秀敏; 瀬川 智臣; 川口 浩一; 石井 克典
JAEA-Technology 2021-002, 31 Pages, 2021/05
MOX燃料製造工程において、規格外の混合酸化物ペレットを粉砕した乾式回収粉末を有効利用する乾式リサイクル技術の開発を進めている。乾式回収粉末は、現行の粉砕機により粗目(約250m以下)、中目(約100m以下)、細目(約10m以下)の3種類に粒度調整し、これを原料粉末に添加することで焼結ペレットの密度を制御する効果が一定程度得られている。本報告では、乾式回収粉末の粒度をより細かいレベルで調整することを目的とし、乾式回収粉末を粒子径250m以下の範囲で調整可能とする粉砕機として、石臼式粉砕機および衝突板式ジェットミルを選定し、MOXペレットの模擬材としてタングステンカーバイド・コバルト(WC-Co)ペレットを粉砕する粒度調整試験を実施した。石臼式粉砕機は、砥石クリアランスを調整することにより粒子径を一定の範囲で制御できるが、粒子径250m以上の粒子が多く排出される可能性がある。一方、衝突板式ジェットミルは、分級ゾーンクリアランスを調整することにより粒子径を250m以下の範囲で制御できる見通しが得られた。よって、衝突板式ジェットミルは石臼式粉砕機に比べ、乾式回収粉末の粒度調整に適している。
深澤 哲生*; 星野 国義*; 山下 淳一*; 高野 公秀
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(11), p.1215 - 1222, 2020/11
被引用回数:1 パーセンタイル:12.16(Nuclear Science & Technology)将来の核燃料サイクルシナリオの変化に柔軟に対応可能なプルトニウム管理システム(FFCI)の概念を開発し、成立性を定量的に評価した。この概念では、軽水炉使用済燃料の大部分を占めるウランのみを粗分離・回収し、プルトニウムは精製せずマイナーアクチノイドや核分裂生成物とともに、容量の小さい「リサイクル原料」として貯蔵する。将来において具体的なプルトニウム利用方法(高速炉あるいは軽水炉MOX燃料等)の決定を受けて初めてプルトニウムを精製して利用することから、現行の核燃料サイクルシナリオと比較して核不拡散性が高い。この概念の技術的課題となるウラン回収とリサイクル原料の一時貯蔵に関して、文献調査、模擬物質による基礎実験、計算コードによる臨界・発熱対策等の検討結果を本論文にとりまとめた。
塚原 剛彦*; 佐賀 要*; 鈴木 英哉*; 松村 達郎
クリーンテクノロジー, 29(12), p.4 - 7, 2019/12
レアメタルは不可欠な資源として重要であり、安定した供給が課題となっている。そのため、リサイクル技術の開発が進められている。しかし、既存の方法はコストや廃棄物、火災爆発の危険性などの問題があり、飛躍的な展開は望めないことから、これまでの分離概念にとらわれない開発が求められている。温度応答性ポリマーポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PolyNIPAAm)と疎水性抽出剤を応用し、温度変化のみで水溶液中で金属錯体を内包したポリマーゲルの生成と再溶解を可逆的に制御が可能であることを見出し、これをレアメタルの分離回収へ適用することを検討した。この相転移現象を利用した水系抽出法は、有機溶媒や固体吸着材を一切用いず、煩雑な固液分離も行うことなく、適切な抽出剤を投入して38C程度に暖めるだけで、廃液中から金属イオンを直接回収することが可能である。本稿で紹介した希土類イオンのみならず、白金族元素やアクチノイド元素(ウラン, アメリシウム, キュリウム等)の分離回収にも成功している。抽出から逆抽出までの全工程が水系で完結し、繰り返し利用も可能であるため、環境負荷低減に資する新しい分離法として期待される。
深谷 裕司; 後藤 実; 大橋 弘史; Yan, X.; 西原 哲夫; 津幡 靖宏; 松村 達郎
Journal of Nuclear Science and Technology, 55(11), p.1275 - 1290, 2018/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)環境負荷低減と核拡散の脅威の削減を目的として高温ガス炉を用いたマルチリサイクルに関する研究を行った。これらの問題はプルトニウムとマイナーアクチノイドからなる超ウラン元素を燃焼させることにより解決され、高速増殖炉の多重リサイクルにより超ウラン元素を燃焼させるコンセプトがある。本研究では、増殖の代わりに核分裂性ウランをサイクルの外部から供給することにより、熱中性子炉であってもマルチリサイクルを実現させる。この燃料サイクルにおいて、再処理から得られる回収ウランと天然ウランは濃縮され、再処理・分離から得られる回収超ウラン元素と混合され、新燃料が作られる。その燃料サイクルを600MW出力のGTHTR300を対象に、ウラン濃縮施設の概念設計も含め設計した。再処理は現行PUREXに4群分離技術を付随したものを想定した。結果として、ネプツニウム以外の超ウラン元素のマルチリサイクルの成立を確認した。潜在的有害度が天然ウランレベル以下に減衰するまでの期間はおよそ300年程度であり、高レベル廃棄物の処分場専有面積は、既存の再処理処分技術を用いた場合と比較し99.7%の削減を確認した。このサイクルから余剰プルトニウムは発生しない。さらに、軽水炉サイクルからの超ウラン元素の燃焼も本サイクルにより可能である。
小澤 隆之
Proceedings of 25th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-25) (CD-ROM), 8 Pages, 2017/07
廃棄物減容・有害度低減に向けたマイナーアクチニド(MA)リサイクルシステムにおいて、再処理で分離されたMAはプルトニウム(Pu)やウラン(U)とともに混合酸化物(MOX)として高速炉で照射される。このような将来のリサイクルシステムでのMA含有率は約5wt.%となることが想定され、MAがMA含有MOX燃料の照射挙動に影響を及ぼすことが考えられる。MA含有による主な影響は燃料温度や被覆管応力の増加で、MA含有MOX燃料の照射挙動のうち、燃料組織変化、再分布、He生成及び被覆管腐食が重要であると考えられる。本研究では、常陽で実施した高Am含有MOX照射試験であるB8-HAMの結果を用い、MA含有MOX燃料の照射挙動を評価するために燃料物性や解析モデルを組み込んだCEPTAR.V2で照射挙動を評価した。その結果、Am含有MOX燃料の照射挙動を精度よく解析でき、Am含有による影響が明らかとなった。
大貫 晃
日本機械学会動力エネルギーシステム部門ニュースレター, (29), p.3 - 5, 2004/10
革新的水冷却炉は軽水炉技術に立脚し、炉心構成を変更することでPuの多重リサイクル利用やウラン資源の有効利用によるエネルギーの長期安定供給に貢献できる魅力ある原子炉である。本特集記事では革新的水冷却炉の概要を述べるとともに、新たに行うべき研究開発の主要課題に対する概況をまとめた。
荒井 康夫; Pillon, S.*
Proceedings of International Conference ATALANTE 2004 Advances for Future Nuclear Fuel Cycles (CD-ROM), 9 Pages, 2004/06
日本及びフランスにおけるこれまでのMA核変換用燃料に関する研究をレビューして、今後の研究課題について議論した論文である。ADSに代表される専用システムに用いる燃料,FBRの炉心燃料に少量のMAを混入させた燃料,FBRの炉心燃料とは別に高濃度のMAを含むターゲットとして用いる燃料それぞれについて、両国で実施してきた製造,物性,照射及び再処理研究から導かれた結果と国際協力を含めて進行中,計画中の試験について幅広く紹介する。
石塚 悦男; 中道 勝*; 内田 宗範*; 河村 弘; 神永 勝男; 坪井 一明; 楠 秀彦
JAERI-Conf 2004-006, p.262 - 264, 2004/03
照射済ベリリウムの保管及び処理は、世界の試験研究炉において問題となっている。ベリリウムは貴重な資源であるため、その照射済ベリリウムのリサイクル手法を確立する必要がある。今回は、JMTRにおける照射済ベリリウムの反射体枠のリサイクルに関する予備的調査の結果について報告する。JMTRは、熱出力50MWd,1サイクル30日間で、年間6サイクル運転される。高速中性子束(E1MeV)及び熱中性子束(E0.6826eV)の最大値は約410n/m/sである。ベリリウム反射体枠は、約6, 7年ごとに交換が行われ(高速中性子照射量(E1MeV):約110n/m)、現在まで4世代の照射済ベリリウム反射体枠がカナル内の水中で未処置のまま保管されている。今回は、これらカナルで保管されている照射済ベリリウム反射体枠の数量を確認し、放射化量等を調査した。また、塩素ガスを利用したリサイクルプロセスの可能性について考察するとともに、技術的な課題について検討した。
大久保 努; 岩村 公道; 竹田 練三*; 守屋 公三明*; 山内 豊明*; 有冨 正憲*
日本機械学会2003年度年次大会講演論文集, Vol.3, p.245 - 246, 2003/08
これまで培われてきた軽水炉技術をベースとしつつ、プルトニウムの多重リサイクルが可能な低減速軽水炉を対象とした300MWe級の小型炉の設計検討を実施した。炉心に関しては、1.0を超える転換比と負のボイド反応度係数を達成するとともに、燃焼度65GWd/tでサイクル長25ヶ月の自然循環冷却可能な炉心の設計を達成した。システムに関しては、小型炉におけるスケール・デメリットの克服のために、受動的安全機器等の導入も実施して、システムの単純化・簡素化を図り、本炉の初号機ベースでは、単位出力当たりの建設単価において、ABWRと比較してスケール・デメリットを1.35倍程度まで抑制できる見通しを得た。さらに、小型炉において期待できる量産効果や複数基発注効果等を考慮すると、ABWRと同程度以下の建設単価を達成できる見込みである。
大久保 努; 岩村 公道; 竹田 練三*; 山内 豊明*; 岡田 祐之*
Proceedings of International Conference on Global Environment and Advanced Nuclear Power Plants (GENES4/ANP 2003) (CD-ROM), 8 Pages, 2003/00
軽水炉技術をベースとして、プルトニウムの多重リサイクルによる燃料の有効利用を目的として、低減速軽水炉の研究開発が進められている。この原子炉は、持続的なプルトニウム・リサイクルの観点から、MOX燃料を使用して1.0を超える転換比の達成が可能である。特に、プルトニウム多重の観点から、現行のピューレックス再処理法よりも低い除染係数を持つ先進的再処理法に関して、プルトニウム多重リサイクル時の炉心特性を検討し、1.0を超える転換比と負のボイド反応度係数の達成が可能であること等を示した。
山下 利之
Isotope News, (583), p.20 - 24, 2002/11
平成13年4月1日、名古屋大学に創設された環境量子リサイクル研究センターを訪問・取材し、同研究センターの設立の経緯・目的・組織などの概要,同センターが取り組む3つのテーマ,「分析・計測」,「分離回収」及び「新機能性材料創製」を通した核燃料物質のリサイクルに関する研究の現状と今後の展望,同センターの施設・設備などを写真を交え紹介した。
有江 和夫*; 安部 智之*; 荒井 康夫
日本原子力学会誌, 44(8), p.593 - 599, 2002/08
高速炉燃料サイクルへの適用を目指してサイクル機構,電中研及び原研で研究開発を進めている、酸化物燃料湿式再処理,酸化物燃料乾式再処理,金属燃料乾式再処理及び窒化物燃料乾式再処理リサイクル技術について、それぞれ研究開発の現状と今後の開発課題について記述した。
河村 弘; 土谷 邦彦
FZKA-6720, p.151 - 160, 2002/06
LiO,LiTiO,LiZrO及びLiSiOのようなリチウム含有セラミックスがトリチウム増殖材として提案されているが、特に低温でのトリチウム放出性,化学的安定性等の観点から、LiTiOが注目されている。また、熱応力割れの回避等のため、直径0.2~2.0mmの微小球が形状として選定されている。このため、原研では、トリチウム増殖材微小球の湿式法による製造技術開発を行っている。一方、核融合炉ブランケットを設計するために、各種物理的データや照射データ(トリチウム放出特性等)を取得することが必要不可欠である。特に、LiTiO微小球に関する照射データは少ないため、JMTRを用いてLiTiO微小球からのトリチウム放出特性等を調べている。これらの結果から、LiTiO微小球の照射温度が300に到達すると、生成したトリチウムがほぼ全量放出することが明らかになった。本会議では、トリチウム増殖材微小球開発と特性データ取得の現状について紹介する。
大久保 努; 岩村 公道; 山本 一彦*; 岡田 祐之*
日本機械学会第8回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.571 - 574, 2002/00
これまで培われてきた軽水炉技術をベースとしつつ、1を越える高転換比の達成が可能な水冷却炉である低減速スペクトル炉の概念設計研究を進めている。これまでに1以上の高転換比と負のボイド反応度係数を達成可能な炉心概念を構築するとともに、炉心性能の向上に加え、プルトニウム多重リサイクル性の検討や制御棒計画の立案等の炉心概念の詳細な検討を進めて来た。その結果、低除染再処理を想定した多重リサイクルが可能であることや、超扁平二重炉心に対しても、炉心各部の出力を安全に制御することが可能であることを確認した。
岩村 公道; 大久保 努; 与能本 泰介; 竹田 練三*; 守屋 公三明*; 菅野 実*
Proceedings of International Congress on Advanced Nuclear Power Plants (ICAPP) (CD-ROM), 8 Pages, 2002/00
日本における持続的なエネルギー供給を確保するため、低減速スペクトル炉(RMWR) に関する研究開発を進めている。RMWRは、成熟した軽水炉技術に基づいて、高燃焼度,長期サイクル,プルトニウムの多重リサイクル,ウラン資源の有効利用等の有用な特性を実現可能である。中性子の減速を抑えて転換比を向上させるために、稠密に配列されたMOX燃料棒の集合体が用いられる。燃焼度60GWd/tでサイクル長24ヶ月の自然循環冷却の330MWe小型RMWR炉心の概念設計が完了した。本炉心設計では、1.01の増殖比と負のボイド反応度係数が同時に達成されている。プラントシステムの設計では、経済性を向上させるために受動的安全機能が採用されている。現時点では、能動的及び受動的機器を組み合わせたハイブリッド型と完全受動安全型を候補として検討している。既に前者に関しては、原子炉機器のコストを下げるとの評価が得られている。
森本 恭一; 柴田 淳広; 重留 義明
JNC TN8200 2001-006, 19 Pages, 2001/12
GLOBAL2001 (International Conference: "Back-End of the Fuel Cycle: From Research to Solutions")は平成13年9月9日から9月14日までの6日間、フランスのパリで開催された。今回は各国から約420名の参加者があり、この内、約70名が日本からの参加であった。本会議では、炉・燃料サイクル分野、再処理分野、処分分野、核不拡散分野等に分かれて報告を行っていた。この中でも核燃料サイクルのバックエンド、長寿命核種のマネージメント、炉・燃料の先進的コンセプトに関する報告が中心的な位置を占めていた。先進リサイクル研究開発部からは実用化戦略調査研究、燃料、再処理等に関する発表、ポスター発表を行い、また各発表を聴講して情報収集を行った。なお、GLOBAL2001の情報に関しては次のホームページで参照できる。http://www.cea.fr/conferences/global2001/index.htm
西村 一久; 庄司 修一*; 羽成 章*; 佐藤 誠一*; 木原 義之; 遠藤 秀男
JNC TN8430 2001-005, 64 Pages, 2001/09
先進的リサイクルシステムのMOX燃料製造法の有力な候補として外部ゲル化法がある。MOX試験の実施に先立ちウランを用いて基本的な機器の把握・製造条件の確認を行った。製造試験では基本的な条件の調査を行い、1)原料となる硝酸ウラニルの調製とPVA水溶液の調製試験を行い、適切な調製条件を調査した。2)液滴を生成するための滴下原液の調製、振動滴下装置による液滴生成に関する試験を行い、適切な振動数、送液速度を調査した。3)ゲル化反応の際の、原液組成、アンモニア濃度の影響を調査した。4)ゲル球の熟成・洗浄・乾燥条件について試験を行い、不純物の除去効果などを調査した。5)乾燥ゲル球の示差熱分析及び焙焼試験を行い、酸化物粒子を得た。このことで最終的な焼結粒子が得られる見通しがついた。また、特性評価などを行い、粒子直径の高い制御性や物質収支に関して技術的な問題がないことを確認した。本試験の結果、振動滴下装置を用いたゲル化法についてのMOX粒子製造試験を行う準備がほぼ整った。しかし、ゲル球の表面ひび割れなどの未解決課題については引き続きウラン試験を行い解決する必要がある。
高梨 光博; 駒 義和; 青嶋 厚
JNC TN8400 2001-022, 60 Pages, 2001/03
TRUEXプロセスの数値シミュレーションコードを開発した。このコードを用いて、高レベル放射性物質研究施設(CPF)で行われた向流抽出試験におけるアメリシウムとユウロピウムの濃度プロファイルを計算した。計算の結果は実験結果とほぼ一致した。また、プルトニウム燃料センターで行われたTRUEX法を用いたAm回収試験の条件について検討し、スクラブ液中の酸濃度の低下および溶媒・逆抽出液量の低下により、逆抽出効率の向上および試験廃液の低減が可能となる条件を示した。試験条件を設定できるようにするために、計算対象成分にジルコニウム、モリブデンおよび鉄を追加し、これらの金属およびアメリシウムやユウロピウムとシュウ酸との錯体の抽出挙動に対する影響を計算コードに加えた。シュウ酸錯体の影響を考慮することにより、アメリシウムやユウロピウムなどの濃度プロファイルにおいても、水相濃度の計算値が、錯体の影響を考慮していない場合に比べて上昇した。CPFで行われた試験に対して、シュウ酸添加量とアメリシウム回収率の関係を計算により調べたところ、過去の試験で用いられたシュウ酸濃度が、処理溶液および洗浄溶液からともに0.03mol/Lであったのに対して、これをそれぞれ0.045および0.06mol/Lとしてもアメリシウムの回収率を十分高い値(99.9%以上)に維持できることが明らかになった。したがって、添加できるシュウ酸濃度には余裕があり、ジルコニウムなどの除染性をさらに高められる可能性があった。加えて、ユウロピウムを回収するプロセスフローシートにおけるシュウ酸濃度条件の設定を計算によりおこなった。
立松 研二; 田中 洋司*; 佐藤 治
JAERI-Research 2001-014, 25 Pages, 2001/03
耐用年均等化発電原価計算法を用いて代表的なプルトニウム利用炉の発電原価を計算し、プルトニウムリサイクル利用の経済性について分析を行った。その結果、想定した前提条件の下で、プルトニウム利用炉の発電原価は、現行の地層ウランを用いた濃縮ウラン軽水炉に比べて割高であり、経済性を向上させるために以下の改善が必要であるとの所見を得た。FBRに関しては、建設費の削減及び燃焼度100GW/t以上を達成すること、全MOX炉及び低減速スペクトル炉(RMWR)に関しては、高燃焼度化による燃料装荷量の削減を行うことである。特に、RMWRに関しては燃焼度70GW/tの炉心が実現できれば、現行の濃縮ウラン軽水炉に近い経済性が期待できる。